year/2010
country/Japan
label/Grunt Style
Wax Poetics Japanの第12号。Erykah Badu、Gil Scott-Heron、Barry White、D’Angelo、Bilal、Isley Brothers等のSoul/R&B Issue。その他Creed Taylor、John Legend & The Roots、Family Groove、The Mattson 2、12inch Laboratory、ヴァイナル駅伝、Funk Archaeologyなど多数の濃厚な記事を掲載。
-以下卸元より-
Erykah Badu
エリカ・バドゥについて特筆すべきことはいくつかある。まず1つは、彼女が本物のアーティストのみが棲息する次元にいること。1997年に『Baduizm』で登場したときから、髪を高く巻き上げたこのしなやかな女性が、他とは違う格を備えていることは明らかだった。批評家たちはその歌声をビリー・ホリデイのようだと評したが、それは正しくもあり間違ってもいた。彼女の音楽はヒップホップでもソウルでもR&Bでもなく“ネオソウル”と呼ばれることになった。
Gil Scott-Heron
ニューヨークの事務所で、午後に電話でのインタビューに応じたこの61歳の作家兼パフォーマーは、40年もの間、詩、小説、歌詞を発表し続けている。彼の作品は広く愛され、多大な影響力を誇る。そのインタビューの受け応えには、彼の作品にも含まれるユーモアや率直さ、そして洞察力が反映されていた。例えばヒップホップとの関係性について質問すると「最近ヒップホップを見かけないな。私はラッパーをそれぞれ1人の個人と見なしているから」と答える。
Barry White
1994年の冬、私は“シャンパン・ソウルの帝王”、バリー・ホワイトにヨーロッパでインタビューするという最高の仕事を手にした。翌朝、私が旅券局に赴くと、カウンターの中年女性はガムを噛みながら皮肉な笑みを浮かべた。「なぜすぐにパスポートが必要なの?」と彼女は無礼に尋ねた。私は微笑みながら答えた。「ベルギーでバリー・ホワイトにインタビューするためですよ」。横柄な公務員はまるで幻聴を聞いたかのような様子で、私を一瞥していた。
D'Angelo
マイケル・ユージン・アーチャーはディアンジェロという粋なステージ・ネームを採用すると、1995年に革新的なアルバム『Brown Sugar』をリリースした。21歳という若さでR&Bのサウンドを変貌させ、ネオソウルという全く新たなジャンルを生み出したディアンジェロ。レイ・チャールズが安酒場の雰囲気と日曜の朝のゴスペルを融合させたように、ディアンジェロは南部のソウルと東海岸のヒップホップを融合させて、まったく新たな、恍惚の音楽を創り上げた。
Isley Brothers
今でこそアイズレー・ブラザーズと聞いて首をかしげる人はいないだろう。キャリア50数余年、ソウル・アイコン、ロナルド・アイズレーに至っては2010年中に新作の発表がアナウンスされるなど、誰しもが認めるアメリカを代表するリヴィング・レジェンド集団である。ただ、ここ日本ではアメリカに類するテンションでずっと迎えられ続けたバンドというわけでは、決してない。コレクター的な視点も交えながら岩沢洋さんとの対談でお届けしたい。
Creed Taylor
「ジャズ評論家は好きな人種じゃない。私だって彼ら好みのプロデューサーではないだろうがね」。70年代を代表するジャズ・レーベル、CTI Recordsを創設した伝説のプロデューサー、クリード・テイラー。彼は今マンハッタンの自宅近くにあるレストランのテーブルに腰をかけている。御年80。その姿はかつてレコーディング・スタジオにおける“鬼才プロデューサー”や“独裁者”の異名を取った人物とはとても思えないほど礼儀正しく、温かみがあるものだ。